あしや芸術祭 2019

コシノヒロコ展 イベントリポート

今回が初開催となる『あしや芸術祭』が、10/20(日)〜11/10(日)の期間で開催されています。

「芸術に対して人々が感じる敷居を下げ、子供を含めた誰もが楽しめるものにしたい」「人々に芦屋の魅力を再発見してもらいたい」という想いのもと、芦屋神社他、芦屋市内の4会場で開催されている『あしや芸術祭』。

2019年10月26日(土)には、世界的ファッションデザイナーでありながら近年はアーティストとしても活躍する、コシノヒロコさんをゲストに迎えたトークショーが芦屋神社(芦屋市東芦屋町)にて開催されました。

若いエネルギーが行動を起こせる環境を

芦屋神社の拝殿にて約1時間に渡って行われたトークショー。テーマは「アートによる芦屋市の発展や、市民がいかにしてアートに親しみ、また経済波及効果を産んでいけるか」です。

ゲストは、コシノヒロコさんに加え、美術評論家の加藤義夫さん、芦屋市商工会会長の永瀬隆一さんの3人。芸術祭の実行委員長である芦屋神社宮司・山西康司さんの司会によって進行されました。

あしや芸術祭 コシノヒロコ展

左から山西さん、加藤さん、コシノさん、永瀬さん

テーマに対し、自然豊かな芦屋の奥池に自宅を持つコシノさんは
「芦屋には、芸術や自然など、日本を代表できる魅力が確かに存在する。しかし、それと同時に、非常に保守的であるようにも感じる。それゆえ、若い人たちがチャレンジをしにくい場所になっているように思う。しかし、街の発展には大きなエネルギーが必要。今後、街の持つ魅力を内輪だけで守って行こうとするのではなく、どうすればさらに発展していけるかを考えていかなければならないと思う。」と、街の人々に訴えかけるように話しました。

あしや芸術祭 コシノヒロコ展

また、商工会会長の永瀬さんは、
「芦屋の人は“高いものでも買う”と思われがち。しかし、芦屋の人々というのは、“高いもの”ではなく“良いもの”が好きだと感じている。これから、経済の面からの様々な取り組みを通して、そんな“良いもの”を作る若いアーティストが羽ばたいていけるようにサポートしていきたい。」と語りました。

あしや芸術祭 コシノヒロコ展

あまりに密度の濃い議論に、美術評論家の加藤さんは「大抵、このようなトークショーは消化不良で終わることが多いが、今日は非常に充実した時間となった。」と思わず感嘆。参加者のみなさんも深く頷いていました。
1時間弱という短い時間ながら、芸術のみならず、芦屋の街としての発展にとっても有意義なトークショーとなりました。

コシノヒロコさん 展示作品のお披露目

トークショー後、参集所ではコシノヒロコさんのアート作品お披露目と、レセプションパーティが行われました。

今回展示されるのは、神社という和の雰囲気に合わせ、水墨画を中心とした作品の数々。巨大な六曲一双の屏風に太筆の墨一色、大樹の迫るような力強さを感じさせるダイナミックな2つの作品。美術評論家の加藤さんは、「つい墨の部分に注目しがちだが、見るべきは余白の美しさ。墨と余白の絶妙なバランス感覚が感じられる。」と評します。

更新日:2019年10月27日
取材 : 長坂 観海 / 早川 桃加(株式会社六角形)

© あしや芸術祭実行委員会