コシノヒロコのアートと安藤忠雄建築

イントロダクション

今回ご紹介するのは、世界的ファッションデザイナーであるコシノヒロコさんのアート作品が展示されている『KHギャラリー芦屋』
かつてコシノさん自身が暮らした家が、ギャラリーとして改装され、一般公開されたものです。しかも、建物はあの日本を代表する建築家・安藤忠雄さんが設計したもの。

11月2日(土)〜11月4日(月)の期間は『あしや芸術祭』の会場のひとつとなっています。

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記事を読んだあなたが訪れたくなる見所をご紹介します。

コシノヒロコとは?

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1937年生まれ 現在82歳
自身の立ち上げたファッションブランド『HIROKO KOSHINO』のデザイナーとして、世界中で活躍中。
デザイナーの傍ら、3歳から絵画を続けており、75歳にして初めて画家デビュー。近年は国内外で個展を開くなど、アーティストとしても活躍している。

NHKの朝ドラ『カーネーション』のモデルでもあったコシノ三姉妹の長女・コシノヒロコさん。ファッションデザイナーとして非常に有名ですが、なんとアーティストとしても活躍されているんですね。3歳から絵を描いており、当初は絵描きを目指していたんだとか。現在ではなんと2000作以上の作品を完成させているそう。その作品をゆっくり鑑賞できるのが、KHギャラリー芦屋です。

ギャラリーの様子

KHギャラリー芦屋があるのは、芦屋の中でも特に高級住宅街である奥池町。自然が多く、静かで落ち着いた場所です。
外観はこのようになっています。

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この建物は、1981年に完成し、コシノさんが実際に30年あまり住んだ後、2013年にギャラリーとしてオープンしました。設計したのはあの安藤忠雄さん。世界的に評価を得ている建築家です。KHギャラリー芦屋は、コシノヒロコさんのアート作品ギャラリーのみならず、安藤忠雄建築としても楽しむことができます。

旧リビング

玄関を抜けると、大きな広間にでます。
現在、ギャラリーでは『The Harmony』展と称して、音からインスピレーションを得た作品や、音を感じさせる絵画が展示されています。

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旧リビングであったこの場所には、和紙に墨で書かれた作品が飾られています。高校卒業後、上京したコシノさんは、体調を崩してしまったことがありました。その際、筆を使って絵を描くことに熱中し、扱い方を身につけたそうです。

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反対側には、和室があります。三味線を趣味とするコシノさん。この部屋は三味線を弾く際に使われていたのでしょうか?

安藤忠雄建築特有の美しい自然光のコントロール

コシノさんは、当時、周りに自殺行為とも言われながらも多額の借金をして安藤忠雄さんにこの家の建築を依頼。以後20年間もローンに苦しんだそうです。しかも、なんとコンクリート打ちっ放しのこの家は、冬にはスキーウェアが必要なほどの寒さなんだとか。 しかし、コシノさんにとって自然と一体となることは、創作に欠かせないことでした。海外で評価されたデザインの多くが、この家で作られたものだそうです。

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さらに、実は、この家は当時無名だった安藤忠雄さんを世界に知らしめるきっかけにもなりました。KHギャラリー芦屋は、のちに日本を代表することになる二人にとって、大変重要な役割を果たした場所だったのです。

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そんな安藤忠雄建築の特徴である美しい光のコントロールは、ギャラリー内のあちこちで感じることができます。

旧寝室

寝室にも、墨が使われた作品が展示されています。ここにある作品は、コシノさんが世界的に有名な日本画家・千住博さんのニューヨークにあるスタジオを訪れた際のインスピレーションから生まれた作品です。

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天窓から入る光が、美しい作品たちをさらに引き立てています。

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さらに、窓の外には勾配のついた芝生の庭が。安藤忠雄建築は、その地域の地形を活かした建築という観点でも評価されています。押し寄せるような迫力にも、包み込むような安心感にも感じられる、不思議な作りです。

旧ダイニングルーム

ギャラリーを締めくくるのは、旧ダイニングルームです。

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コシノさんは、絵を描く際に一切迷わない上に、複数の作品を同時並行で作り上げていくのだとか。信じがたいですが、忙しいスケジュールの中で2000もの作品を作り上げたという事実が何よりの証拠です。

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ダイニングからは、中庭にも出ることができます。清々しい山の空気を存分に吸い込むことができ、創作活動が捗りそうな空間です。

まとめ

コシノヒロコさんのアート作品を、美しい安藤忠雄建築の中で楽しむことができる『KHギャラリー芦屋』。通常の美術館やギャラリーとは全く違う楽しみ方ができる場所です。
入場料は無料。平日はホームページからの予約制・日曜日は予約なしで入場可能です。

また、現在芦屋市では『あしや芸術祭』が開催されており、KHギャラリー芦屋もその会場のひとつとなっています。

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『あしや芸術祭』は「芸術に対して人々が感じる敷居を下げ、子供を含めた誰もが楽しめるものにしたい」「人々に芦屋の魅力を再発見してもらいたい」という思いのもと、芦屋神社他、芦屋市内の4会場で開催されています。コシノさん自身も、その意図に共感し協力したのだそう。
KHギャラリー芦屋が会場となるのは、11月2日(土)〜11月4日(月)の期間中。なんと、コシノさんの未発表作品が公開される予定です。

この機会に、ぜひ訪れてみてはいかがでしょうか。

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画像提供:株式会社ヒロココシノ